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記事No : 11
タイトル GESORTING 152 眠たい四月馬鹿
投稿日: 2008/04/01(Tue) 02:40:38
投稿者geso

[さる故事]
 「サルコジ」と聞くと頭の中で「猿孤児」と誤変換される日本人は俺だけだろうか(反語).サルコジとしては,よりによってジャポネにそんなこと思われたくもないだろうが.
 などとくだらんことを考えてる夢を見た――夢の中で考えたと言うべきか.
 多分,フランスが北京五輪開会式に参加しない意向だとのニュースを聞いた影響だと思う.
 この手の騒ぎがある度に「スポーツと政治は切り離して考えるべきだ」などと宣う能天気な人たちがいるが――中国政府も同様のことを言ってたけど,こちらは能天気ではなく正に「政治的」なのだが――五輪が政治絡みでなかったためしなんて,未だかつてないだろうに... そもそも国の看板を背負わされた選手たちが競争するんだから,政治的にならぬ訳がない.
 俺は国と国との競争には興味ないけど,ヒトの能力の限界較べには興味があるので,国籍とは関係なしに個人やチームが競うのであれば,五輪のような世界大会をやるのも面白いとは思う.
 その場合は,勝つためにプロテインだのドラッグだのを使用しても全然構わないことにすべきだな.人体改造もしたって構わない――サイボーグ化はどこまで許されるかという線引きの問題は生じるだろうけどね.


[山たつ]
 江口"こんな仕事してる暇があったら自分の漫画描けよ"寿史が監修した『ザ・ベリー・ベスト・オブ・山上たつひこ』全5巻(小学館)の刊行が既に始まっているが,第3巻に収録予定だった「半田溶助女狩り」シリーズが,他の作品と差し替えになるという.
 理由は公表されていないが,恐らくこのシリーズが山たつ作品の中でも群を抜いて「猥褻」だから,出版社側で自主規制したものと思われる.タイトルからして「人妻砦 夜の穴ふり」だの「じょしちゅうがくせえ 涙のタコ壺」だの「失神首ふり童子」だもんなぁ... 淫行も出て来るし.
 ああ,これもお蔵入り=封印作品になってしまうのか...一番好きなシリーズだったのに...社会的規範を無視しているからこそ面白いのに...結局自主規制するんなら最初から企画立てなきゃいいのに...
 久しぶりに初版単行本(秋田書店TOPコミックス 1975)を読み返してみたら,やっぱり馬鹿みたいに面白い.
 「ごめんくさい!通りすがりの半田電気ですがクーラーの取り付けにまいりました」で始まる「処女膜さんと亀頭くん」の巻とか,エロ以外のギャグも冴え渡ってる.
 もっとも,もしこのシリーズが採録されたとしても,『喜劇新思想大系 完全版』(フリースタイル 2004)のときみたく,差別的だったり卑猥だったりする表現は相当改竄されることだろう.収録OKになった作品群のネームだって,きっと一部改竄されているに違いない.
 まぁ,俺は今回の選集は買わんから――殆ど持ってる作品ばかりだから(自慢)――確かめられないけれど.

[更に本を巡るあれこれ]
 三山のぼるが,去年12月2日に急逝していたことを,遅ればせながら知った.好きな漫画家だったのに...ショック.

 「○○の品格」という便乗本が一体何冊出ているのか知らないが,相当数あることは確かだろう.
 その最新版と思われる 渡部昇一センセの『自分の品格』というハードカバーを本屋で見掛けた(三笠書房 2008).
 待ってました,真打ち登場! 柳の下の泥鰌を狙ったうえにこの臆面もないタイトル,さすが並みの人とは品格が違う.ブックオフに105円で落ちてきたら,是非買って笑いたい.
 根拠はないが,渡辺淳一『鈍感力』(集英社 2007.こちらはそろそろ105円で出回りそう)といい勝負だろうと想像しつつ,楽しみに待つことにしよう.

◎ローリー・リン・ドラモンド『あなたに不利な証拠として』(ハヤカワ・ミステリ文庫 2008.初版 2006)
 池上冬樹の絶賛ぶりが尋常じゃないので,本当にそんなに面白いのか?と興味を抱いて読んでみたところ,確かに傑作だった.
 女性警官5人が1〜3編ずつ主人公になる短篇集で,分類上は警察小説に入るんだろうけど,優れたジャンル小説はジャンルを無化するという逆説の好例なので,ミステリに興味なくても小説好きだったら読まなきゃ損である.
 読者に物語の筋を追う楽しみを提供する小説ではなく,読者を否応なしに語り手=主人公の心の旅に同行させる小説.描かれる世界の多くは殺人が絡んで陰惨だけど,読み始めたら止められなくなるのは,坦々とした文章ながら――描写はリアルかつ緻密だ――読者と主人公の感情を完全に同期させる並外れた筆力のなせる技だろう.
 凄い新人に出会えて――本作は2004年のデビュー作だが,年齢は結構いってるみたい――嬉しい.二作目が楽しみだ.

 池田清彦の本を3冊――『正しく生きるとはどういうことか』(新潮文庫 2007.初版 1998)・『他人と深く関わらずに生きるには』(新潮文庫 2006.初版2002)・『やがて消えゆくわが身なら』(角川書店 2005)――読了.
 どれを読んでも同じと言えば同じ.根本にあるのは修正リバータニズムとでも言うべき過激な正論で,空論とまでは言わないが相当実現困難な理想論ではある.べらんめえ調の毒舌は,常識家にとっては腹立たしいかも知れないが,芸として楽しめるので○.
 「人には野垂れ死ぬ自由がある」と喧伝する人には,野垂れ死んでもらわないと騙された気がするから,今後の作者の死に方に注目したい.

 その他,借り物を含め読んだもの.感想は他所に書いたから省略.
○蒼井上鷹『ホームズのいない町−13のまだらな推理』(フタバノベルス 2008)
△小方厚『音律と音階の科学』(講談社ブルーバックス 2008)
○岡留安則『『噂の真相』25年戦記』(集英社新書 2005)
○荻原浩『誘拐ラプソディー』(双葉文庫 2004.初版2001)
△三宅乱丈『イムリ 3』(エンターブレイン 2008)
△森見登美彦『太陽の塔』(新潮文庫 2006.初版2003)
○伊藤計劃『虐殺器官』(早川書房 2007)
○野中健一『虫食む人々の暮らし』(NHKブックス 2007)
○森脇真末味『緑茶夢−スラン』(小学館文庫 2002.初版1990)
○同『アンダー』(ハヤカワ文庫JA 2001.初版1990〜1992)
○下村富実『首』(小学館 1997)

 それにしても「噂真」も「ダカーポ」も消えたいま,発売日を楽しみに待って買う雑誌は皆無で,淋しい.「紙の爆弾」,「サイゾー」,「ブブカ」... どれも今ひとつ.

 あと,中村うさぎ『さすらいの女王』(文春文庫 2008.初版2005)の解説が面白かったなぁ.佐藤優が,うさぎの言動を反クリスチャン的倫理に基づくものとして分析してて... 本文の方は未読なんですが.

2008.04.01 GESO


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