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記事No : 112
タイトル GESORTING 204 ロキソニンはもう効かない
投稿日: 2017/01/09(Mon) 22:17:41
投稿者geso

読みたいもの・観たいもの・聞きたいものを享受する一方で積ん読や積ん見が溜まっていく.
不足したものは取り入れ溜まったものは吐き出さないと均衡が保てない.
かつての記憶力があれば覚えていられたものも今ではすぐ忘れてしまうので思い出す都度書き付ける必要がある.
除外項目――日常生活の愚痴等――を設ける必要もある.
でも友人知人あてのメールにはときに余計なことを書き連ねてしまう……許されろ.
2016年3月以降上書きを繰り返したメモから.


○井上亮『忘れられた島々「南洋諸島」の現代史』(平凡社新書 2015)
 西班牙も葡萄牙も独逸も英国も米国も日本も南洋群島の侵略者/収奪者/文化破壊者だったという恥ずべき歴史から日本人は何も学んでこなかったことが分かる歴史書.著者は日経新聞編集委員とのことだが日経にもマトモな記者がいたんだな.
△栗原康『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』(岩波書店 2016)
 これが評伝?著者は囃し立てているだけで面白いのは伊藤野枝の元ネタのお蔭.確信犯的悪文には我慢するとしても漢字表記すればいいのにわざわざひらいているところや定型句の明らかな誤用に苛立つ.
△米澤穂信『満願』(新潮社 2014)
 35歳(執筆当時)にしては老成した文章による手堅いミステリ短編集.後味が悪いのはいいとしても連城作品の影響を受けているならもう一捻りして欲しかった.
○篠田博之『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま文庫 2015.親本 2008)
 犯罪の抑止力になるという理由で死刑制度を肯定する人にとっては死刑にされたくて殺人を犯す人間がいることは信じ難いだろうがそういう人間も実在するのは事実.死刑にされたい者にとって死刑は刑罰ではなく救済.「だから死刑制度に反対」という気も起きないのはそもそも生殺与奪権を国家が独占していることが気に食わないからである.
○長田弘『ねこに未来はない』(角川文庫 1975.親本 晶文社 1971)
 本来はこうした装飾過多の文章は嫌いなんだけど内容が良いので可.購入した角川文庫版は平成20年発行で24刷だから凄いロングセラーだ.
○種村季弘『贋物漫遊記』(ちくま文庫 1989.親本 1983)
○赤坂真理『東京プリズン』(河出文庫 2014.親本 2012)
○上原善広『被差別のグルメ』(新潮選書 2015)
△本島進『たばこ喫みの弁明』(ちくま文庫 2008.親本 慧文社 2004)
 穏当な保守派による煙草擁護論.文庫解説というのは大抵著者をヨイショした内容だから幾分割り引いて読む必要があるが本書の場合はもとより著者に対して批判的である点が面白い.書いたのはスガ秀実か.なるほどね.
△山田正紀『桜花忍法帖(上下)』(講談社タイガ 2015)
△『SF JACK』(角川書店 2013)
 日本SF作家クラブ設立50周年記念オール書き下ろしアンソロジー.○は吉川良太郎,上田早夕里,山田正紀,山本弘,宮部みゆき.
○赤坂真理『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書 2014)
△連城三紀彦『わずか一しずくの血』(文藝春秋 2016)
 面白いけどミステリ的には無理筋すぎる.
△アン・レッキー『叛逆航路』(創元SF文庫 2015.原著 2013)
 細部はリニューアルされているがプロットは古典的な復讐譚でロマンティックなSF.それほどの傑作とは思えないのに7つも賞を獲ったのは不思議.
○中川ホメオパシー『バトル少年カズヤ』(リイド社 2016)
 相原コージ+竹熊健太郎『サルでも描けるまんが教室』(小学館 1990〜1992)取り分け第3巻「Practice-7 路線を変えてみよう」直系の子孫に当たる電波+鬼畜系ギャグ漫画.発禁になる前に買うべし.
○山田正紀『屍人の時代』(ハルキ文庫 2016)
○同『カムパネルラ』(東京創元社 2016)
 2016年の山田正紀は久々に良かった.2017年出版予定の「クトゥルフ少女戦隊シリーズ」3作目はちょっと心配.
○赤田祐一+ばるぼら『定本 消されたマンガ』(彩図社 2016.親本「消されたマンガ」 鉄人社 2013
○獅子文六『コーヒーと恋愛』(ちくま文庫 2013.親本 新潮社 1963)
○いしわたり淳治『うれしい悲鳴をあげてくれ』(ちくま文庫 2014.親本 ロッキング・オン 2007)
 ちょっと都筑道夫に通じるセンス.侮れない.
○ねこまき『ねことじいちゃん 2』(KADOKAW 2016)
 何事も起こらないことにホッとする漫画.
△鹿島茂『モンフォーコンの鼠』(文藝春秋 2014)
 プロットは凄く面白いが小説家の文章ではなく学者の文章.汚物塗れの19世紀パリ市街やハードコアな濡れ場を描くも強烈な臭気や色気を感じさせず説明的なところが難.例えば分かる者だけ分かればいいという傲慢な姿勢で説明を省略しつつも雰囲気を適確に伝えられる佐藤亜紀(性格は悪いが小説は良い)の巧みな文章には敵わない.
○中川翔子編『にゃんそろじー』(新潮文庫 2014)
 なかなか良いラインナップで侮れない.内田百閨uクルやお前か」ほか涙なしには読めぬ作品を含む.
○洞田創『平成うろ覚え草子』(飛鳥新社 2014)
 江戸末期の浮世絵師が平成にタイムスリップし再び江戸に戻ってから うろ覚えで描いた平成の事物や風俗の記録という設定.アイディアも絵も文章も見事.
○栗原裕一郎『<盗作>の文学史 市場・メディア・著作権』(新曜社 2008)
 「文芸作品をめぐって起こった盗作事件の収集と分析と検証を目指した」本.類書がありそうでない貴重な資料.お蔭で江藤淳と倉橋由美子の論争(というか喧嘩)の具体的内容を初めて知ることができた.この件が今まで殆ど取り扱われて来なかった理由は論争の舞台となった東京新聞に縮刷版が存在しないため原資料に当たるのが難しかったためだという.産経新聞に縮刷版がないことは不思議ではないけれど東京新聞にもないとは……
○中川ホメオパシー『干支天使チアラット 1』(リイド社 2016)
 『カズヤ』ほどではないがこちらも笑える鬼畜系.
○山田参助『山田参助の桃色メモリー』(KADOKAWA 2016)
 確信犯的アナクロエロマンガ集.
○諸星大二郎『BOX〜箱の中に何かいる〜1』(講談社モーニングKC 2016)
 久々の現代もの連載作品.早く続きが読みたい.でもこの作品を映画化したらシャマランになっちゃって駄目かも.マンガで良かった.
×若杉冽『原発ホワイトアウト』(講談社 2013)
 「日本の裏支配者の正体」は明かされちゃいないし小説としては生硬/サスペンス不足.現役キャリア官僚が書いたという付加価値なくしては売れなかっただろう.
○クリストファー・プリースト『逆転世界』(創元SF文庫 1996.親本 サンリオSF文庫 1983.原著 1974)
 アイディア一発なるも伏線の回収ぶりが見事.フランシス・デステインのモデルはニコラ・テスラかね?
○倉橋由美子『最後の祝宴』(幻戯書房 2015)
 『<盗作>の文学史』ではわずかしか引用されていなかった江藤淳への反論の全文が読める.
○花輪和一『刑務所の中』(講談社漫画文庫 2006.親本 青林工藝社 2000)
 文庫サイズは小さすぎるけど必読の増補改訂版.
○同『花輪和一初期作品集』(青林工藝社 2007)
○同『天水 完全版』(講談社漫画文庫 2009)
○同『コロポックル 完全版』(講談社KCデラックス 2004)
○同『風童』(小学館 2013)
 自分の中では3度目くらいの花輪ブーム.増補改訂版を揃えたい.
○吾妻ひでお『失踪日記2 アル中病棟』(イースト・プレス 2013)
○近藤ようこ『五色の舟』(KADOKAWA 2014)
 原作者 津原泰水の作風はあまり好きじゃないが本作についてはいずれ原作も読みたい.
○清水潔『殺人犯はそこにいる』(新潮文庫 2016.親本 2013)
 「文庫X」版.「調査報道」のお手本でありリアル「犯人に告ぐ」ドキュメンタリ.そういえば産経の馬鹿記者が『南京事件 兵士たちの証言』(清水が制作したNNNドキュメント)にイチャモンをつけて返り討ちにあっていたが所詮敵う相手ではない.
○上野顕太郎『さよならもいわずに』(エンターブレイン 2010)
 愛妻との死別を描いた悲痛なドキュメントの中でも冗談をカマさずにはいられないギャグマンガ家の性に感動.
○萩尾望都・田中アコ『菱川さんと猫』((講談社アフタヌーンKC 2010)
 青森市(作中では穴森市)を舞台にした化け猫ファンタジーマンガ.続編を切望.
○村上竹尾『死んで生き返りましたれぽ』(双葉社 2014)
○いましろたかし『デメキング 完結版』(太田出版 2007)
 1991年「ビジネスジャンプ」で連載〜打切りされた未完の怪作にして偉大なる失敗作の完結編.著者の世界に共感できるマンガ読者層はどんどん減っているに違いないからファンは応援し続けなくちゃ.

映画
○山本透『猫なんかよんでもこない』(日 2015)
 猫好き以外は観る必要がないが猫好きにとっては「あるある」の連続.主役の風間俊介は若い頃のエンケンに似ている.映画の後で原作マンガ全4巻も読んだがそちらも良し.
○園子温『紀子の食卓』(日 2005)
△同『エクステ』(日 2007)
○森達也『FAKE』(日 2016)
○宮藤官九郎『TOO YOUG TO DIE! 若くして死ぬ』(日 2016)
○庵野秀明・樋口真嗣『シン・ゴジラ』(日 2016)
 2回観たのは2回観ないと分からない台詞が多かったから.
○デヴィッド・ヴェンド『帰ってきたヒトラー』(独 2015)
○シャルミーン・ウベード=チナーイ・アンディ・ショーケン『ソング・オブ・ラホール』(米 2015)
△新海誠『君の名は。』(日 2016)
 思い返せば電通臭さプンプンのヒット狙い作品ではある.
○田中登『(秘)色情めす市場』(日 1974)
 6度目の鑑賞.トークショー付き上映会で芹明香を初めて生で見られて感無量.
△ティム・バートン『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(米・英 2007)
△山口雅俊『闇金ウシジマくん 2』(日 2015)
×ジョン・ヒューストン『許されざる者』(米 1960)
 カイオワ族何モ悪クナイ.何故皆殺シニサレルカ?
△三浦大輔『何者』(日 2016)
◎片渕須直『この世界の片隅に』(日 2016)
 2回観たのは素晴らしかったから.実写・アニメを問わず近年最上の映画の一つ.白木リンのエピソードを含むディレクターズカット制作に期待.
△赤堀雅秋『葛城事件』(日 2016)
△白石和彌『日本で一番悪い奴ら』(日 2016)
△中野量太『湯を沸かすほどの熱い愛』(日 2016)
 脚本は無茶だが俳優陣の熱い演技に助けられている.宮沢りえ男前.りりィの遺作か.
△行定勲『ジムノペディに乱れる』(日活 2016)
 ロマンポルノリブート・プロジェクト第1弾.そつが無い出来でリブートというよりリアピアランス.板尾創路演じるサイテーなのにやたら持てる主人公のモデルは相米慎二らしい.主人公に絡む女性たちは往年のロマンポルノ女優のスター性を欠く.風祭ゆきのカメオ出演(板尾の植物人間状態の妻役)は嬉しい.
○塩田明彦『風に濡れた女』(日活 2016)
 同プロジェクト第2弾.監督+主演2人の舞台挨拶付き上映だったが「日活お正月映画」との監督の弁(笑).笑かすシーンもある欲望一直線のパワフルなエロは『ジムノペディ』の衰弱したエロよりも○.

イヴェント
○3.20 日比谷図書文化館『祖父江慎+コズフィッシュ展 ブックデザイ』
 祖父江さんは好き勝手にやらせてもらえて羨ましいなーと思う装幀家は多いことでしょう.
△7.23 江戸東京博物館『大妖怪展』
 大人の事情があるとしても水木しげるが全く除かれていて妖怪ウォッチが入っている妖怪展ってどーよ? おかしいでしょ.
○10.16 テルプシコール『天麩羅劇場の欄干 VOL.3』
 30分の短さに驚いたがいっそ清々しい.長時間の芝居は疲れるだけなのでもう結構です.

音楽関係は省略.良いものは良く悪いものは悪かった.

2017.01.09 GESO


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