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タイトルGESORTING 159 先行不透明
記事No60
投稿日: 2008/09/03(Wed) 01:54:29
投稿者geso
[晩夏の災厄]
 「あ〜 ポニョポニョうるせえ夏だった」と山科けいすけが書いていたが,同感だ.
 で,嫌な話だけど,昨日仕事上のトラブルが発生し,未だ解決の目処が立たぬ状態.職場の存亡にも係わる深刻な問題で,胃が痛くなってる.
 次はいつできるか分からないので,今のうちに書きかけの雑文をアップしとくことにしました.

[書きかけの感想]
○原宏一『ムボガ』(幻冬舎 2000)
 原宏一は奇想を膨らませて物語を作り,お涙ちょうだい路線に踏み出すことを躊躇する.
 荻原浩は日常生活の綻びから物語を膨らませ,読者サービスとして「泣かせ」の多用を躊躇わない.
 と書くと全然異質の作家同士に見えるが,実際に読み較べると互いによく似たタイプみたいな気がしてたのだが,本作はその類似性が最も顕著に現れた例=最も荻原作品に近い原作品だと思う.
 アマチュア中年ロックバンドとアフリカ人の滞日労働者「ムボガ」との出逢いを契機に,ニッポンにおける外国人不法滞在者問題・農業問題・都会と地方の格差問題・家族問題等々が絡み合う,原作品としては奇想の度合が少なく泣かせる部分がやや多い社会派エンタメである.
 原が荻原ほど売れてないのは,世間では泣けるお話が好きな読者の方が多数派だからなのだと思う.
 荻原も感動作ばかりじゃなく『噂』(講談社 2001)みたいな陰惨な作品をもっと書いた方が,バランス取れていいと思うのだが.

○広瀬正『鏡の国のアリス』(集英社文庫 1982.初版 1972)
 幸い最近文庫版全集の復刊――文字が大きくなったらしい――が始まった広瀬正.人気は根強いし,著作は全部で6冊しかないんだから(1972年48歳で急逝),常時重版しといてくれりゃいいのに.
 本作は,一見こちらの世界とほぼ同じだが,全てが鏡像になっている世界に迷い込んだ青年――左利きのジャズサクソフォン奏者という設定がミソである――の悲喜劇.街並みも当然鏡像になっているので,銀座――「裏」銀座ですね――で主人公が迷うシーンだとか,鏡の世界の「左利きの会」会長が鏡像関係について解説するシーンだとか,大変ややこしくて,鏡の世界に迷い込むようである.

○リッカルド・カショーリ/アントニオ・ガスパリ『環境活動家のウソ八百』(洋泉社新書 2008.原著 2004)
 著者二人がローマ法王庁立の大学で教鞭をとるジャーナリト――バリバリのカトリックのエリート――であるというバイアスを割り引いて読んでも,目からウロコの情報満載の啓蒙書である(イタリア本国で2006年に出たという続編の翻訳も期待したい).
 エコロジーとフェミニズムが共に「優生学」に起源を持ち,更にルーツを辿ればマルサスの人口論に至るという指摘,様々な「エコロジー的常識」への科学的反証,「グリーンピース」「WWF]といった巨大な圧力環境団体の汚れた実態等が,公開資料に基づいて明示される.
 バチカンが植物の遺伝子組換えを――勿論条件付きだが――公式に容認しているというのも一見意外だが,一方でこの国は,動物やヒトの遺伝子を操作することや,ダーウィンの進化論に対しては――本書では明記されていないが――当然否定の立場にあるわけだ.
 キリスト教と科学は決して真っ向から対立するものではなく,一部で共犯関係が成り立っているのは何故か?ということは本書においては「メタ」な問題だから触れられていないが,それもまた興味深いテーマである.

○李闘士男『デトロイト・メタル・シティ』(2008)
 全体として原作のシリアスさを3倍,下品さを1/3,ギャグを2/3くらいに拡大縮小した実写版映画だが,エピソードをパッチワークするセンス,役者のなりきりぶり――特に松山ケンイチと松雪泰子――が見事で,予想外にノリのいい仕上がり.あのお馬鹿な原作を感動作っぽくアレンジした力業も大したもの――最後はちゃんと落とすけど.演奏シーンも,ラップ対決部分が今イチだった点を除けば,なかなかの迫力.

2008.09.02 GESO

タイトルRe: GESORTING 159 先行不透明
記事No61
投稿日: 2008/09/03(Wed) 15:37:05
投稿者むらなか
 ノートパソコンのキーボードが壊れたので、ヨドバシカメラに修理に出し、代替機はないかと見ていたら、イーモバイル2年契約すればASUSのサブノートが100円アルヨという甘言に釣られて買ったのだ。ところが月曜-水曜に2泊で行った出張先はイーモバイルの基地がなかったのだ。で、多分福田退陣で起こったであろう2chの祭りを見逃したのだ。親爺たちの集いで酒を飲んでいたのだ。
 
 職場のトラブルはご愁傷様。事なきを得ることを祈念します。
 あ〜めん