人生の縮図
表紙
淡い色で彩られた
悲壮
喫茶店のドアを開けて
その世界の内側に進入すると
第1ページ
ピンク色の舌をした女が
そこに座っていた
紙の端が
微かに揺れる
テーブルには男が一人
同じく
アイスクリームが五つ
それで
天気予報はとたんに暗転を始め
街路地の病的な易者曰く
99歳までは降水確率80パーセント
ほぼ絶望的なほど
涙に満ちるでしょう
ちなみに本日は大雨恋愛警報
この天気は明日まで続く見込みで
地質学的には
土砂崩れと崖崩れが
女難の層が強固な地域ほど
同じくアイスクリームが五つ
店の主人が
カウンターの奥で笑っている
なんと
彼はお人形さんだった

RADIOに耳を澄ませている
めくるめくポリスカーが
地獄が
鏡の中には
紫の外れが色めき立って
女たちが
真夏のコートとしゃれ込んでいた
ハンガーにぶら下がった男たちは
神社の境内で
「もう良いよ」
朱塗りの柱は
「まだだよ」
1990年代の神社では
風に気になるタロットが舞っている

急にクーラーがうなり始める
室内は急降下して
それから
急上昇を始める
瞬く間に
机の上の海図は
雑多なモノたちに紛れ
それから それから
沈み込んで行く

微生物のプールで
小学生が
消毒剤をかじり
社会の陰謀を台無しにしてしまう
ネズミの死骸
喰らう猫もいない
信心深い神様が
礼拝堂でキリストに手を合わせ
ポクポクポクポクと
神主の頭を叩いて
子供がケラケラ笑っている

英雄は
歩道に座り込んだまま
動かなくなった
死よ
あなたはこの男を見捨てるのか
自由の女神よ
あなたは彼を救い出すために
旅立つことさえ

自分の写真が
壁に画鋲で貼り付けられている 今
誰もが後悔など出来ないはずだ