長い間考えていた
何が正しくて
何が罪悪なのか
そんなことを考えていた
それもとても長い間

年老いた人々は
昔はいろんな事があったと言う
それに昔はいろんなことが正しい方向にあったと
けれどそのどれもが子供たちの
共感を得られない
子供たちは今を生きようとしているのだ

カラのグラスを揺らしている詩人がいる
人口は増大している
都市は破裂寸前
けれど誰もが楽しんでいる
鼓動は
廻転している
血腥いことが起ころうとしている
けれど
誰もが楽しんでいる

破壊的なことについて考えてみよう
それに
魅力的な破滅について
それから日記のあるページに
愛について
何かとてもつまらない
そして
とてもステキな出来事があるとしよう
それはまさしく幻想だ

救いのない地獄はない
破滅のない楽園はない
金属の輪の
ある一極と
対する一極を想像しよう
世界はその輪の中

子供じみた破滅の計画
彼女がふるえる様子に
僕は薄ら笑いを浮かべる
子供じみた破滅の計画
僕は君を無碍に踏みにじるだろう
僕は薄ら笑いを浮かべる
けれど
それでも僕は境界の内側に留まるべきだろうか?

誰もが誰をも止めることは出来ないだろう
裁きは行動の後に付きまとうが
決して追いつくことは出来ないだろう
後に歴史が裁くだろうが
彼らが歴史の口を封じようとしているので
僕は限りなく自由を感じる

ファッションの娘
せめて君と僕との間に
愛に似た何かさえ有ったなら
それとも
希望に似た何かさえ感じられたのなら
何かは変わっていたのだろうか?

1996年という
重苦しいカレンダーの新たな1頁を
紅茶を飲みながらまた捲っている
それから
僕は誰とも共感することなく
自分のノートに
横書きで[VANITY]と書き綴る
激しい痛ましさを感じている
僕は君がつけたTVを消す
僕は既に
君たちが価値あるものだという総てに
なんら敬意を払えない
それでも
僕は境界の内側に留まるべきだろうか?

異なる場所では
僕は
君たちが破滅に耳傾けるまで
丁寧に
それもロマンティックに
何度も何度も
語りかけている

20世紀は既に死にかけているというのに
僕は
時には後悔の念を抱いて
振り返り
20世紀を正当化するためのロジックを思索している
けれど
死者に花を手向けて
一体どうなると言うのだろう?

ずっと高いところに
何か
本当に長い間
それを待っていた
まさしく それが
空を渡っている

病的な青い月
色彩を投影する
女の瞳
僕は
手のひらの中に
半ば汗ばんだ鍵を
もう一度握り直す

それにしても
今夜の月は
痛いほど青い

待っている
総てを見晴らすその視線を