星の無い夜の
星の形を求めて
瞑目する部屋は海に向かって
ほのかな潮風を呼ぼうとする
抽象の長い階段を登ってゆく
あるいは降りて行く幽霊たちの
ほっそりとした指先を愛す
行くべき先の黒い広がり
地図のアフリカ
曖昧な雲
忘却の迷路を流れる
全ての疑問符の曲がり具合に
沿って流れる細い声をあつめて
架空の領土を築こうと
記憶をおおう厚い埃の上に
累卵の塔を積み上げる日々
言葉は狂鳥となって頭脳を巡り
天空を覆う巨大な肝臓を啄む
けれども再び
めぐってくる残酷な再生
暗い樹の下で
ほの白い酒を酌み交わし
暦の時間に閉じこめられた
魔神の頑なな姿勢で
雪の取り巻く雲の回廊に
転びに行く人々を見送る
エンドマークは星の形に
眉間に埋め込まれた白い球根が
可憐な蕾をつける時まで