夏には腕時計を焼く
水晶の音叉は夏の骨か
ウイッシュボーン
ウイッシュボーン
柱時計が深夜の二時を告げる
子供達の眠りの底で
もがいているのは何?
灰色にこね上げられた
神の第一物質
それとも古代の怪物のようなもの
構造では語れない形のない構造
プラスチックの骨格模型たち
透き通ったアクリルの板に
簡単に描かれた雲のようなもの
でも水の粒子を凝視すれば
薔薇や僧侶や貝殻や帽子が映っている
純白のチュールレースや象牙のドミノ牌
輝く真鍮の分銅で量られる
薄緑のオリーブ油
小麦の粒粒
肉太のソーセージ
蜂蜜色のパスタの束
数え切れないもののかたちを
数え上げ
墜ちて行く眠りの絶壁を
暗色の花々で飾りたまえ
満月に背を向けて
深夜の虹を俯瞰する
豊饒の
カオスの
血の色の眼をした深夜特急が
おがががががががががががと鉄橋を渡る時