明日は鰻丼になるという
ウナギの右腕にシャブを打ち
渡る青空横断歩道
銀が鉄・銅の夜について
真剣に笑いつつ議論しながら
天昌寺に向かう坂を登りつめれば
地平に不思議な土筆が芽生え
光る地面に土筆が生え
苦しい街を埋め尽くす
錆びた消火栓にまたがって
泣いている豚の親子に同情して
阿片を一服ごちそうしてやった
あの遠い午後
人々は皆リヤカーを引いて
エデンの園へと引っ越して行く
住めばまた都となるだろうエデンの園にも
カラオケ酒場はあるのだろうか
私テンカン持ちの旅人は
つつましく電柱に立小便する
うす紫の空を跨いで
電波塔の向こうに虹が立つ
禁制品のLSDを飯代わりに
朝夕食い続けた報いだろうか
霊魂はとうに何処かに失せた
蓮根とマイコンは穴だらけの思想を広め
テンカンの発作はひっきりなしだ
明日は鰻丼になるという
ウナギに促されてシャブを手渡し
私は明るい明日の指標となろう
思えば早くも両頬に
随喜の涙したたりて
天昌寺の松に首をかけ
天昌寺の松を恋うるより
私の身はあけびのごとく
夏中ぶらさがっている