塩辛男たちが黄色い煙を噴いて天空高く石炭を掘っていた昔の名前で出ている頃
玉虫色の南洋土人が洗濯機の中から変な声で隣の娘さんを口説いているのに
わたしはまだよだれの海で眠りこけているだんだん焦げてゆくパンの夢を見ながら
おいしさが聞こえなくなるまで高く高く早く海洋性健忘飛行機にまたがって花模様の飛行機にのって
合成洗剤の空の深みでリンスを忘れてしまいそう
青い空の深みで忘れてしまいそう
わたしの長いながい舌をたぐり出す国造り神話の一節から止めどもなく血が噴き出して洗い立てのシーツを汚してしまう
底はわたしの心臓部だからだが麻痺したままで伸び縮みしたがる天体顕微鏡は嫌
恐い蟹やオックスフォード大学がこちらをにらむから
もうわたしは情緒不安定の樽の山の頂上で蠅取り宇宙人の群衆に決断を迫られる苦しさ
わたしは既に死斑の浮き出た学校の正門を乱打する用務員のおじさんが黄色い歯を見せて笑う時に水虫がむず痒くそこらじゅうを歩き回る
山の端に肥った月が引っかかって何とか昇ろうともがいている匂いを嗅ぎつけて猫が集まる左肺の真上をとても優しい足どりで
わたしの左眼球に浮かぶ巡洋艦のブリッジで三十三人のわたしが一斉にあくびする
そのせいかわたしは鼻かぜをひいた目が覚めた
満開のカリフラワーの花の上で