ある日のこと、アカエイが、いいました。
「おれは、いまから、橋になる。」
 そして、かれは橋になりましたが、だれもわたるものは、いませんでした。
 アカエイは、せっかくのしんせつをむしされたので、はらがたちましたが、しんぼうして、わたってくれる人を、まちつづけました。
 まちくたびれて、とうとうしんでしまいましたが、それでも、だれひとり、かれのなきがらに、ちかづこうとさえしませんでした。
 アカエイの、トゲのある橋は、はんぶんくらいほねになって、いまも、うみのそこにねむっています。おしまい。

(お母様方へ──この寓話には、何ら寓意は含まれておりません。しかし、申すまでもないことですが、お子様の知能開発のために、お子様自身が、意味のないところから教訓をひきだそうと努力するようにしむけることが肝要です。この教材を、十分に活用していただきたいと存じます。)