そして僕たちは生きている
黒が僕たちを塗りこめた色

地面をちょっとした空間の下に置いて
ちょっとした空間を床の下に置いて
床をベッドの下に置いて
ベッドを彼女の下に置いて
彼女を僕の下に置いて
僕をちょっとした空間の下に置いて
ちょっとした空間を天井の下に置いて
天井をちょっとした空間の下に置いて
ちょっとした空間を屋根の下に置いて
屋根をちょっとどころじゃない空の下に置いて
孤独の深度と残された時間を測ってみる

汗が夜に吸い取られてゆく
思いは静寂に押しつぶされてしまう
僕は乾燥して圧殺されつつある

彼女は遠いところで声をあげている
僕は遠いところで声を殺している
彼女は遠いところでアイされている
僕は遠いところでアイしている
彼女は遠いところでアイしている
僕は遠いところでアイされている
彼女は遠いところで踊っている
僕は遠いところで歌っている
僕たちは遠いところで抱き合っている
僕たちは眠りを見出せるというのか
他人同士の抱擁の隙間に

黒が僕たちを塗りこめた色
そして僕たちは生きている