電線が月を細分してゐる
地面の冷感が
草の葉を傳つて上つてくる

風の匂ひに薄目を開き
蟲の羽音を頭の中に聞いて

「汗が乾くまで かうしていやう
 なあ」
しかし女は眠つてゐる

   戲れに野原に出でて交はれば
   快き哉 秋の夜風は